2013年8月18日日曜日

本堂に空調設備を設置⑤冷房の使用感


7月より本格的に使用開始した本堂の床下式空調、主に法事や聞法会の際に使用してきたわけですけれども、先日の「追弔会」ではじめて大勢集まる行事での冷房を経験しましたのでそろそろエアコンの使用感をご報告できたらと思います。

まず、驚かされたのは、その静粛性。風切り音や動作音など殆ど音がしないのです。静かだとは聞いていましたが、ここまでとは。風量を最大にしてもよく耳を澄まさないとわからないレベルです。むしろ、外の室外機の騒音の方が耳につきます。その静粛性のせいで反対に通常のエアコンや家庭用エアコンの音がとても気になるようになってしまいました。これまであまり意識したことなどなかったのですが、意識し出すと意外と気になるものですね。

またこの床下空調は風速がとても遅いことも特徴となっています。直接不快な風を感じることがないので、とても自然で心地よい空間を実現することができるのです。これを設計の佐藤さんは「泉効果」と言われます。つまり泉が湧きでるがごとく、静かに、そしてゆるやかに心地良い風が湧き出てくるのです。ほとんど空調の存在を意識することのない快適な空間を作り出すことができます。

寺院にとって法要時の厳粛さを邪魔しないこの静粛性はかなり有益なのではないでしょうか。当寺は、これまで冬場に使用していた業務用ストーブの騒音に閉口させられていました。

そして、肝心の冷房の効き具合ですが、これも◎です。

実は、効きに関しては少し心配をしていました。広さに対してそれほど大きくない室内機が2台(冷房能力12.5KW・暖房能力14KW)で本当に大丈夫なのか半信半疑だったのです。

本堂の室温が30度を超えるような状態であっても何の問題もなく設定温度(いつも22~23度位)に達します。ただし全体が均一に冷えるまである程度時間がかかるため来客の一時間ほど前からスイッチを入れるようにしています。

嬉しい誤算だったのは、お内陣も涼しいこと。今回導入した空調は本堂全体ではなく、参詣人が座るスペースのみを冷暖房する設計の為、僧侶が座るお内陣はあまり期待していなかったのでありがたいです。特に法要時は法衣を着込みますのでとても助かります。またお内陣と同様に空調の対象外だった通路なども同じく快適です。

また運用費も想像より遥かに低負担で驚いております。
床下空調は人のいる空間のみを空調しますのでやはり効率が良いようです。

こんないいことずくめの空調ですが、あえて欠点を挙げると、冷房時の場合、風量を落としすぎると冷気が下に溜まりがちになること。女性の方で足が寒いと言われた方がおられます。
あと全体が冷えるまで温度にムラ(正座、椅子、起立など状態によって温度差を感じます)ができやすいようですので、早めにスイッチを入れておく必要があります。


当寺は床がカーペットで椅子式であったり、縁の下にエアコンを収めるスペースが十分にあったりと比較的導入しやすい環境が整ってはいましたが、それでも色々ハードルや制約がありましたので、どなたにでもお勧めできる空調ではありませんが、私は今回この空調を導入できて本当に嬉しく思っております。今言った条件はもちろんですが、何より設計者や施工業者にも恵まれましてお陰様で快適な聴聞の場をみなさまに提供することができました。どうもありがとうございました。皆さまのお越しをお待ちしております。

冬には暖房の使用感をレポートしたいと思います。